Our Science:
研究開発

小分子化合物に代表される医薬品開発において、化合物の立体配置の制御は、医薬品の性能や毒性を精査する上で極めて重要であると認識されてきました。しかしながら、オリゴ核酸を用いた医薬品開発では、これまでに立体配置の厳密な制御は全く行われてきませんでした。ホスホロチオエート型修飾 (天然型リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子の1つを硫黄原子に置き換える化学修飾) は、核酸医薬開発において極めて重要な化学修飾の1つとされています。ホスホロチオエート型修飾を行なった場合、リン酸ジエステル結合のリン原子は不斉リン原子となり、Rp体とSp体という2種類の立体異性体が生じます。1か所の化学修飾につき、2種類の立体異性体のペアが生じることから、20量体のホスホロチオエート型核酸は、理論的に219 = 524,288類の全く異なる立体異性体の混合物からなるということになります。

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WaVe Life Sciences では、この状況を打開すべく研究開発を行ない、リン原子の立体配置を厳密に制御したオリゴ核酸医薬を合成する独自のプラットホーム技術の開発に成功しました。本プラットホーム技術により、薬物動態に基づいて設計された、立体化学的に純粋な核酸医薬を合成することが可能となりました。これにより、1回の投薬量や投薬回数を減らすことで、患者の方の投薬過多による負担を軽減できることが期待されます。WaVeでは、我々独自のリン原子の立体配置制御技術を用いて、高活性で安全性の高い核酸医薬を様々な方面 (アンチセンス法やRNAi法など) に向けて開発していきます。

Antisense Oligonucleotides
アンチセンスオリゴヌクレオチド

アンチセンスオリゴヌクレオチドは、短い一本鎖のDNAまたはRNA分子で、ターゲットとなるmRNAに相補的に相互作用し、効率的に遺伝子発現を”オフ”にする、化学修飾されたオリゴヌクレオチドの総称です。いくつかの制御機構が知られており、ターゲットのRNAを立体的にブロックしてリボソームの働きを阻害する機構と、RNase Hという酵素を利用してターゲットRNAを分解する機構があります。また、mRNAのスプライシング部位に結合することで、欠陥のあるタンパク質への翻訳を引き起こすスプライシングエラーを、是正することも可能です。

RNA interference
RNA干渉

RNA干渉 (RNAi; RNA interference) は、ヒトや多くの生物種が有する遺伝子発現制御機構の1つです。短い二本鎖RNA (siRNAs; small interference RNAs) のうち1つ (ガイド鎖) が、相補的な配列を持つmRNAとともにRISC (RNA silencing complex) に取り込まれ、アルゴノートタンパクにより、mRNAのみが触媒的に分解される現象です。RNAi法は、核酸医薬開発の新しい手法として期待されています。